財産目録の作り方:相続・終活のための完全ガイド

遺言執行者になった方も、相続人として手続きを任された方も、自分の終活として準備を始めた方も、いちばん大変なのは財産目録づくりです。財産と借金をすべて洗い出し、その詳細を集めるまで、遺産の規模によっては何か月、ときには何年もかかります。

はじめて財産目録を作るなら、必要なものは 2 つです。わかりやすいガイドと、モノ管理の仕組みです。この記事では、その両方をお手伝いします。財産目録の作り方について知っておくべきことと、専用のソフトでどれだけラクになるかを見ていきましょう。

注意:相続に関する法律や手続きは国や地域によって異なります。この記事は日本と米国を例にした一般的な解説で、弁護士、司法書士、税理士などの専門家のアドバイスに代わるものではありません。

まずは基本から始めましょう。

 

財産目録とは?

財産目録とは、亡くなった人が亡くなった時点で持っていた財産と負債(借金など)をすべてまとめた一覧です。財産目録を作るおもな目的は、遺産をきちんと管理し、子どもや相続人、配偶者、遺言で財産を受け取る人、債権者のあいだで正しく分けることです。相続税がかかる場合は、その計算のもとにもなります。

日本では、たとえば次のような場面で財産目録が必要になります。

  • 相続人が限定承認をするとき:相続の開始を知った時から 3 か月以内に、財産目録を作って家庭裁判所に提出します。
  • 遺言執行者が選ばれたとき:遺言執行者は財産目録を作り、相続人に渡します。
  • 遺産分割協議や相続税の申告をするとき:相続税の申告と納付は、原則として亡くなったことを知った日の翌日から 10 か月以内です。

米国では、遺産の検認手続き(probate)で裁判所に財産目録を提出するのが一般的です。

 

財産目録に含まれるもの

不動産、金融資産、年金口座などは、財産目録によく含まれる項目です。ペット、本、家具、機械や設備も遺産の一部だと知ったら、驚くかもしれません。

財産目録づくりも、遺産の整理や分配も大変だというのが、なんとなくわかってきたのではないでしょうか。でも、分けて考えれば簡単になります。最初のステップは、財産を有形のものと無形のものに分けることです。

 

有形の財産

有形の財産とは、目で見て手で触れられるモノのことです。財産目録に入る有形の財産には、たとえば次のようなものがあります。

  • 家や土地などの不動産
  • 自動車
  • 宝飾品
  • 猟銃などの銃
  • 機械、工具、設備
  • 家具
  • コレクション
  • 美術品
  • ペット
  • 本
  • 家宝や骨董品
  • 思い入れや金銭的な価値のある家財

 

無形の財産

無形の財産とは、目で見たり手で触れたりできないもののことです。財産目録に入る無形の財産には、たとえば次のようなものがあります。

  • 普通預金や定期預金の口座
  • 保険契約
  • iDeCo や企業年金、米国の 401(k) などの年金制度
  • 個人の年金口座
  • 株式、債券、投資信託
  • 貸付金などの債権
  • 特許
  • 知的財産
  • 会社の持ち分
  • ロゴやブランド

 

財産目録に入れなくてよいもの

財産のなかには、遺産に含まれないものもあります。すでに受取人が決まっているものや、もともとほかの人のものでもある財産です。

 

遺産に含まれない財産

たとえば次のようなものです(具体的には各国・地域の法律によります)。

  • 受取人が指定された生命保険の死亡保険金(日本では相続税の対象にはなります)
  • 共有財産のうち、ほかの共有者の持ち分
  • 共同名義の口座のうち、ほかの名義人の持ち分
  • 遺族年金など、ほかの人が直接受け取る給付
  • 米国の撤回可能信託(リビングトラスト)に入れた財産など、各国の制度で遺産から外れるもの

相続は法律で決まっていますが、家財や思い出の品など大切な財産を、愛する人に確実に渡すことはできます。遺言書に書いておけばよいのです。日本では 2019 年から、自筆証書遺言につける財産目録をパソコンで作れるようになりました(各ページに署名と押印が必要です)。

遺言がなければ、遺産は法律で決まった相続のルールに従って分けられます。

 

どんなときも裁判所の手続きが必要?

必ずしもそうではありません。日本では、遺言がなければ相続人どうしの遺産分割協議で分け方を決めるのが一般的で、裁判所が関わるのは限定承認や相続放棄、話し合いがまとまらない場合などです。米国では州によってルールが異なり、たとえばテキサス州では、遺産の評価額が 75,000 ドル未満なら正式な検認手続きを省略できる場合があります。

借金が財産より多いおそれがあるなら、日本では相続の開始を知った時から 3 か月以内に、家庭裁判所で相続放棄や限定承認を申し立てることができます。どちらを選ぶにしても、まず財産目録で全体像をつかむことが大切です。

 

財産目録の作り方

遺言執行者や相続人なら、手続きのために財産目録を作ることになるでしょう。自分の終活のために財産目録の下書きをしておきたい方もいるはずです。どちらの場合も、流れはほぼ同じです。財産目録を作るときの手順は次のとおりです。

 

1. 財産を洗い出す

最初のステップは、遺産にあたる財産をすべて書き出すことです。亡くなった人が遺言書を残していれば、そこに書かれた財産を書き留めます。次に、住まいを調べ、家族や友人に話を聞いて、財産をもれなく探します。権利証や登記事項証明書、通帳や取引明細、確定申告書、貸金庫、郵便物なども確認しましょう。

亡くなった人が弁護士や司法書士、税理士に相談していたなら、連絡して財産について聞くこともできます。

お気づきのとおり、財産の一覧を作るには手間と調査が必要です。まずは先ほどのように、財産を有形と無形に分けることから始めましょう。記録するモノが多すぎるなら、家財リスト、自動車のリストなど、さらに細かく分けてもかまいません。家財については、家財リストのガイドも参考にしてください。

 

2. 財産目録に詳細を記録する

財産のおおまかな一覧ができたら、次はそれぞれの情報を集めます。

自動車なら、色、車種、メーカー、年式、現在の走行距離、車台番号を書き留めます。家なら、所在地や地番、家屋番号などを記録します。貸金庫は、中身と場所を記録します。銀行口座や年金口座は、最近の取引明細と残高に加えて、金融機関名、口座番号、亡くなった日の残高などを記録しましょう。

宝飾品や宝石、貴金属などの財産は、カット、透明度、色、使用状態など、さらに詳しい情報が必要です。財産の写真も忘れずに添えましょう。

もちろん、記録すべき情報は財産の種類や地域によって変わります。念のため、評価や分配を効率よく進められるように、関係しそうな情報はできるだけ多く財産目録に残しておきましょう。

銀行の取引明細のコピーを残しておく必要があるときもあれば、財産の説明を記録しておく必要があるときもあります。

そろそろ、財産目録のデータをすべて管理する手間が心配になってきたのではないでしょうか。

いちばんよい方法は何でしょう?表計算ソフトが当然の選択に思えるかもしれませんが、かえって負担が増えます。手続きのたびに情報を確認するだけでなく、途中で目録を更新したり、情報を追加したりする必要もあるかもしれません。表計算ソフトは、そこまでの作業には向いていません。

モノ管理の仕組みのほうが、この作業に向いています。表計算ソフトと違って、目録の更新や情報の追加がすばやく簡単にできます。情報は数秒で確認でき、必要なときにいつでも共有できます。

 

3. 財産を評価する

財産の評価は、遺産の価値を確かめるために行います。株式や銀行口座など評価しやすい財産もあれば、美術品や不動産のように難しい財産もあります。そうした場合は、専門の鑑定士や不動産鑑定士に依頼する必要があります。

評価の内容はすべて、鑑定した人の名前と連絡先とあわせて財産目録に加えておきましょう。

 

4. 借金などの負債を書き出す

次のステップは、住宅ローン、カードローン、医療費、奨学金、自動車ローン、未払いの税金、クレジットカードなどの負債を書き出すことです。

これを財産目録づくりの一部と考えない人も多いのですが、この段階で一緒に済ませることをおすすめします。

負債の情報がそろっていれば、相続の手続きがずっと早く進みます。それに、財産の一覧を作るときと同じ調査をすることになります。

財産目録ができたら、財産から負債を差し引いて、遺産の正味の額を計算します。この額が、遺産の分け方や相続税の計算のもとになります。

手続きの期限や関係する法律、ルールは、国や地域によって異なることに注意しましょう。

遺言執行者や、手続きを任された相続人なら、遺産から払うべき税金や借金を支払い、残りの財産が相続人に分けられるまで見届ける必要もあります。

自分の終活として準備しているなら、次のステップは、遺言書を書く、財産を見直す、法的な書類を準備する、遺言執行者を決める、などです。

 

財産目録が不完全だとどうなる?

財産とその詳細をすべて記録していなければ、財産目録は不完全です。

不完全な財産目録のいちばんの問題は、相続人への財産の分配が遅れることです。日本では、相続税の申告が漏れていたり期限に遅れたりすると、無申告加算税や延滞税がかかることがあります。米国のテキサス州などでは、分配や目録の提出が遅れると、遺言執行者が解任されたり、重い民事上の罰則を受けたりすることもあります。

相続の手続きは、お金も時間もかかります。遺言がなければなおさらです。財産目録が不完全なら手続きが長引き、費用もさらにかさみます。

専門家への報酬などに加えて、遺産を維持する費用も時間とともに増えていきます。家には光熱費、税金、修繕費がかかり、投資は適切に管理しなければなりません。返していない借金には利息がつき続けます。

財産の管理と維持は大変です。財産が多いほど、作業も難しくなります。しかも、きちんと維持・管理しないと価値が下がってしまう財産もあります。

そのあいだにも、亡くなった人に生活を頼っていた家族は、分配が遅れるほど苦しくなるかもしれません。

遺産の整理を待つ家族は、手続きが遅れるとイライラしたり、不安になったりします。それがもめごとや、長く続く不仲につながることさえあります。

早く現金にしなければというプレッシャーから、相続人が財産を相場より安く売らざるを得なくなることもあります。株式ではよくあることです。

手続きが遅れる理由はいろいろありますが、記録の不備はもっとも多い原因の一つです。うれしいことに、モノ管理のツールを使えば、この問題はすっかり防げます。

 

Nest Egg で財産目録を管理する

自分の終活でも、遺言執行者としての務めでも、Nest Egg モノ管理アプリなら財産目録の管理がラクになります。

Nest Egg では、財産目録の詳細を記録し、写真を加え、音声や動画も添付できます。入力も少なくて済みます。バーコードをスキャンするだけで目録が更新されます。登録したモノに、自分だけのカスタム項目を作ることもできます。

そのほかにも、次のような便利な機能があります。

  • 財産目録のなかに評価額のわからない財産があっても、オンラインで平均価格を簡単に調べられます。
  • 目録を記録し、財産ごとの状況を書き留められます。
  • Nest Egg Cloud は複数のユーザーに対応し、それぞれの操作を記録します。何人もが同じデータにアクセスする場合も、誰が何をしたかがはっきりします。
  • Nest Egg なら、必要なだけ財産を記録できます。
  • Nest Egg Cloud は複数の端末から使えます。
  • 同期は自動です。端末で記録したデータはすぐにクラウドに同期されるので、端末のトラブルで目録が欠けたり食い違ったりする心配が減ります。

データを集めるだけでも大変です。データベースの管理まで、やることリストに加える必要はありません。直感的で多彩な機能の Nest Egg にお任せください。モノの管理のために作られた Nest Egg が、作業をシンプルにし、時間を節約します。

 

Nest Egg で財産目録をシンプルに

財産目録をまとめるには、いくつもの作業を正しい順番で片づけなければなりません。同時に、それぞれの地域の期限にも気を配る必要があります。このガイドがあれば、財産目録をより効率よく、きちんと作れます。モノ管理の仕組みなどのツールを使えば、作業はさらにラクになります。

この記事が、遺産に含まれない財産、財産の評価、目録に入れるべき情報などを理解する助けになれば幸いです。終活や相続の手続きが無事に進みますように!